2006年10月04日
ウンチと堆肥と土
牛舎の横を手でかいて説明するS氏
そして、(ご飯中の方は見ないほうがいいかも)
牧場の牛が住んでいるところの下にあるものです。
もともとは牛のウンチ。
でも、時間の経過で堆肥に。
ミミズが住んでいます。
ミミズのウンチは土と呼ばれています。
普通堆肥はウンチを好気発酵させて温度を80℃くらいまでにしないと、いいものが出来ないといわれています。
しかし、ここではそれすらしません。
80℃の発酵が地球環境に良いと思えるはずもなく、
堆肥を作るためにホイールローダーをたくさん動かしてCO2をたくさん出すことも温暖化に貢献しています。(貢献の使い方は間違っています)
げっぷをたくさん出すから牛は環境破壊をしてるとまで言われ、牧草などの低条件でも生育する糖質をきちんと利用してタンパク質となって人間が利用できる形に変えてくれている牛たちをどうしてそんな一面だけで捉えるのかが理解不能です。
物事はその道の専門になればなるほど色々な方面から見ることができるようになると思いますが、マスコミは一部の研究報告だけを殊更大きく取り上げて、さらし者のように面白おかしく報道されているのが現状です。
色々な生物と共存していることに今一度目をむけ、仲良く問題解決に取り組んでいけたらなあと日々思っております。
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2006年09月22日
うしがたべる。
バイオエタノール?
それもいいんですけど、うしたちには貴重な栄養素。
うしたちの食べているものには
■牧草・・・あまり窒素が多くないもの。(硝酸態窒素は苦くてまずい。体に悪い。食肉の発色剤ですよ)
■コレ=ポテトパルプ=でんぷん粕・・・十勝ではジャガイモでんぷんを搾った後の繊維質がこれ。
■コーン とうもろこし・・・飼料用の物にはなぜか魚粕が混ぜてある。輸入物ですが。たぶん加工用に使って欲しくないんでしょう。でんぷんと脂肪が豊富。牛の脂の硬さ調節にもなる。軟らかめにする。
■圧ペン大豆・・・サラダ油を搾った後の高たんぱく低カロリー商品。昔はてんぷら油って言ってたけど私が子供の頃に呼び名が変わった。うちの親が油屋さんで油を売っていたので聞いたら名前が違うだけで値段がサラダ油のほうが高く売れたらしい。ちょっと横道にそれました。因みに菜の花を菜種と呼んで???と白パンダさんに言われました。菜種油って昔からよく呼んでいたので。
■大麦・・・輸入物ですね。日本ではたいした量を作っていない。ピタミン、ミネラル豊富。脂の硬さを硬くしたいときに。
■ほかに、酒かすや米の粉(酒を作る前に磨いたお米)、そば粉やおからなど何でもOK!その都度でバランスをとった食事をS氏が作ってくれる。
■お塩・・・・哺乳動物には必要です。窯元さんのみたくミネラル豊富なのがいいんですが。
■貝化石・・・貝の粉末はあるのですが化石になることで吸収率がUP↑
■微生物・・・商品名アースジェネター。整腸剤みたいなものですが。今風にいえばプロバイオティクス、って奴ね。
■粉炭・・・おがくずを固めないで高温で炭にしたもの。純度の高い炭素です。無数の細かい穴が吸着&微生物のアパートを経営じゃなく形成。
牛には4つの胃があります。
第1胃 通称みの ココに沢山の微生物がいて口の中と行ったり来たりの反芻を繰り返す。
第2胃 通称はちのす ココはみのとくっついていて殆ど同一的な感じです。広げると大きめの座布団やラグマットみたいです。
第3胃 通称せんまい ヒダヒダが多いので吸収しながら次へと送る。
第4胃 通称ギャラ(ギアラ) 小腸の組織に似ている。殆ど腸に近い。
この4つの胃で単胃動物の消化できない糖質【セルロース】をブドウ糖にしていくことが出来ます。
【セルロース】は植物の繊維質であり、これには木も含まれますし最初に登場したでんぷん粕も含まれます。
2006年09月16日
みなさん!ご注意を!
以前ぎたばさんが紹介していた記事関連です。
牧場に出没!!!
毎度のことですが、新しい足跡は結構リアルで怖いです。
実は私こんなにきれいなのははじめて見ました。
ウンチは見たことあったんですけど。
足跡がすごくハッキリと
アレッ
ハッキリと
アレッ
目が霞んでるのかなぁ
別の”人”の足跡
最初の写真を見やすく解説
大きく囲まれたところは足の平と指です。
その先に鋭い爪の穴が開いています。
こんなのにやられたら一発であの世行きになりそう。

2006年08月28日
White Veal(ホワイトヴィール)
フランス料理などでは高級肉として有名な乳飲み子牛。
肉色が白っぽくまるで豚のよう。といわれています。
実は私も実物は見たことが無く
話には聞いていますがこのたび先日見学にいらした
メゾン・ド・スリジェのオーナーからの依頼で
現在育てています。
これは生まれたときからずーっとmilkのみで育てられたものを特別にそう呼びます。
国産のホワイトヴィールは珍しく、あっても代用乳でしか育てられていないはずです。
牛乳は高いですから。
今回縁あって少しチャレンジさせていただくこととなりましたが、
基本的には自然にはやや逆らう育成の仕方です。
牛は早ければ2ヶ月くらいでおっぱいをあまり必要としなくなりますから
5ヶ月くらい育てるとなると、横で草を食べている奴をうらやましく思ったりするはず。
↑これは普通に育つほうです。
最初の写真をよく見てください。
牛の足元はスノコ状になっていて藁がありません。
食べたくなれば藁も食べちゃうそうです。
とにかく肉色を白く保つのですから、カロチン関係のほかに
鉄分も取らせないということらしいですが
今回は柵に鉄が使われているのでどうなることやら。
11月にはお肉になってしまう短命な牛さんです。
なんとも考えさせられるものですね。
私はこの件についてはあまり深く考えないようにしています。
他とは違うのは牧場で絞った本物の牛乳を贅沢に飲んでいるところでしょうか。
おかげで私たちの方に回ってくる牛乳はなくなってしまいました。
帯広に行くならぜひここにもお立ち寄りください(夏休み期間応援)

2006年08月23日
ほえる牛

牧場には今年からこの牛がいます。
肥育用牛舎で最も威張っています。
カレは実は去勢されています。
勢力を取り去られているはずですがもともと男らしいのでしょう。
周りはほとんどが女子ですので
『この群れは俺が守る』
といういまどきの人間世界ではめずらしい意気込みをもって吼えてます。
この写真では分かりづらいですが、闘牛よろしく前脚をかいてます。
完全に威嚇モード。
中に入るなんてとんでもありません。
以前牛の数を調べに柵の中に入って調べに行ったことがありますが
そのとき私は全部女子だと思い込んで中に入って数えていました。
しかし、ある牛舎に行くとどうも一人だけ興奮してうるさいのがいる。
耳についているピアスに番号がついているのでそれで表と一致させて
調べるのわけですがある程度近づかないと判別できませんから
中に入って牛を追い回すわけです。
基本的には女子は人が来たら興味はあっても遠巻きにしています。
ましてやたまにしかいかない私が行くわけですから、近づいても逃げるのが通常。
ですがそこの一人だけ様子がまったく違うので、あまり刺激しないようにその他の
人たちをチェックしていたのですが、さっきの人だけどんどん興奮して
声を揚げています。
「うおぉぉぉぉおぉぉ~~~~~~」
うるさいです。
それだけだったら良かったのですがそのうち例の
これから突進しようかと思いますが・
・・・のポーズ
「これって闘牛場でしか見たことなかったけどまさか自分がその対象とは」
(いや、闘牛場には行ったことはありませんが)
やばいんじゃないの!!
で、あわてて逃げて柵から外へ出ました。
後で牧場のS氏に聞くと
「だめだよ~。あそこ入っちゃ~。種牛いるんだから。」
先に言ってくれ!もう少しで襲われる
ところだった。
そのときの彼は 「蒔き牛」 といって受胎させたい女子と一緒に囲っておいて
自然高配させるというもの。
種牛は種を搾り取られるだけではなくある程度の成績優秀者(中くらい)は
ハーレム状態で放り出されるのです。
自分も蒔き牛になってみたかった、という気持ちが一瞬よぎりましたが
でもやっぱ牛だし、と冷静になってみたりもしまして。^^
牛の世界は人工授精真っ盛りですが実は凍結精子は
現物を水で薄めています。
正確には知らないのですが約10倍と聞いたことがあります。
で、人工授精は牛の発情期にあわせて、凍結精液を人工授精師さんが
メス牛に種付けしていきます。
(某畜産大学出身の割にはこの辺のことは素人なのでお許しを。)
発情が来ない牛にはホルモン剤を投与して様子を見たりします。
牛は基本的には人間と同じで、発情期が年がら年中あります。
受胎期間もほぼ一緒。10ヶ月で子供が生まれます。
しかし、牛の赤ちゃんは大きいので畜産農家は特に気を使いますが
酪農家ではいい方法があります。
酪農家ではほとんどがホルスタインです。
骨格は和牛と比べると1.2倍以上大きいです。
ホルスタインの場合には初産を和牛の種を使って小さめの牛を生ませることで
産道の通りを良くするということが多く行われています。
ここで誕生した牛は
F1
と呼ばれる牛になります。
ホルスタインと黒毛和牛のmix犬ならぬmix牛です。
見た目は黒毛和牛よりもやや大きくなります。
味は・・・・・
これ言うと肉のプロの方、怒って反論するか、無視でしょうが。
ハッキリ言って変わりません。(きっぱり)
品種の違いは味への影響は少ないです。
黒毛、F1、ホルスタイン、赤身の味の傾向は変わりません。
左右するものがあるとすれば、食べ物(えさ)です。
その話は少し置いておいて。
で、話を戻しますと
人工授精による受胎よりはやっぱり、自然交配のほうが受胎率は
いいみたいです。
ホルモン剤投与で授精師さんの手でいじられて、薄い精液で
受胎しろって言うほうが無理な場合もあるみたいです。
精液薄めても精子の数はもともと多いので理論的には問題ないのですが
生き物ですから個体差があって当然。
全部同じ方法でできないことも考えると、蒔き牛システムもいいかもしれません。
牛も喜び、人も喜ぶ。
ちょっと長くなりましたので今日はこの辺で。
2006年07月08日
牧草収穫!
一昨日のA牧場です。
どんよりとしています。
ここ数日はカラッとしない天気ばかり。
ですから
「これってやっぱり【梅雨】じゃないの?!」
と思うくらいです。
今日の予報も十勝地方の北部は夕方に雨が降るかもしれないとか。
前回収穫が遅れ気味とお伝えしましたが、やはり草の丈は長く太くて美味しくなさそうでした。
牛さんたち我慢してください。m(__)m
一番右側の写真は実は近所の牧場のもの。
ロールした牧草の写真を撮り忘れたので^^
左の2枚も奥のほうに見えるかもしれません。
乾燥させてから作れば長期保存可能なものになります。
青々とした牧草は十分乾燥させないと出来ません。
天候が鍵を握っています。
乾燥させない場合は軽く水分が残った状態でも巻き取ってラップします。
コチラはサイレージといって醗酵させることで日持ちを良くします。
ミルクを絞る場合にはコチラでも栄養価的には足りていますしそれ以外の混合飼料も与えますのでサイレージで十分と考えられています。
最近では牧場で個別に収穫するのではなく、通称 「 コントラ 」 という農協でのサービスを受けて大型機械で収穫し、ロールにしないで屋根のないコンクリートで囲まれた広場みたいなところ(バンカーサイロ)に集めて、シートをかけてサイレージを作ります。
昔のサイロはこれを縦型にしたものと考えれば理解しやすいと思います。
昔のサイロは円筒形の建物の上部から収穫した牧草を入れていっていっぱいにします。
程よく醗酵してきますから、下部から少しずつ取り出して牛たちに与えていきます。
醗酵してますからサイロ内部は酸素が少なく結構酸欠で亡くなった方も多いと聞いています。
酪農家さん(dairy man) は現在の牛乳の流通から考えると各自の努力は収益に繋がりにくい構造となっています。
この【各自の努力】とはより良い品質のものを作る努力と定義します。
酪農家さんは出来るだけ少ない飼料で、衛生的(細菌数が少ない)で、ある程度健康な(一部の指標しかないが、体細胞数というのが少ない)牛乳を出来るだけたくさん搾ることが、最大目標になっています。
殆どはホクレンが集荷してしまうので隣の牛乳もどれもこれも一緒!
混ざってしまえば分かりません。
この状況では基準値さえ満たせば後は知らん振りです。
殆どの牛は5歳くらいで搾乳から開放され、肉になります。
いわゆる 【 老廃牛 】です。
BSEのときにも騒がれましたが、5~6歳の牛が年寄り?
うちには長ければ20才くらいの和牛がいます。
人間に直せばおそらく25歳くらいで肉になっていると思われます。
それは乳量のピークが過ぎたから飼料効率が落ちるためで
「 餌食ってる割におっぱい出ないからサイナラ! 」
って感じです。
全国の25歳以上の女性はもっと怒るべきかもしれません。
で、実際搾るのは3年から4年です。
大量に高効率な飼料を与えるので内臓は悲鳴を上げます。
そのときに牧草の役割は健康を維持するものではなく牛乳を搾るための原料です。
青くても青くなくてもいいわけです。
手間は惜しみたいですから。
今日のA公園・・・
ではありません。(笑)
調べなくても分かる数少ない植物 【 ヨモギ 】 です!
調べなくても分かる数少ない植物 【 イタドリ 】 です!
こんなことを書いていて間違いを指摘されたらどうしよ。
今年はものすごく大きくなってます。
天候が悪くて伸びが速いのは、所謂 【 雑草 】の類。
窯元さんのカジカを思い出します。
(私も食べなかったので)
2006年07月06日
牧場の馬(うまとろや)
実は牧場にはお肉になるのを心待ちにしている(はずのない)馬がいます。
品種は 【道産子】 です。
しかも2頭も!
牛さんと一緒です。
名前も付いてます。
1頭だけですけど 「はるちゃん」
全国のはるちゃんゴメンナサイ。
実は馬は牛と同じものを食べるとすぐにお腹を壊して死んでしまう可能性が高いのです。
馬はご承知の通り、胃が一個しかありません。
牧草などを食べても消化吸収が悪いので、人間と同じようにスルーするものが多い。
だから馬の糞はいい堆肥になるのですが、栄養価の高い牧草や、硝酸体窒素の多い草を食べるとガスがたまって倒れてしまいます。
馬を飼うのは難しいといわれるのはこの辺です。
ですがここでは馬も牛も一緒。
これが出来るということは牧草の栄養価はほどほどで、硝酸体窒素の少ない牧草を食べていることの証ともいえます。
で、このお馬さん、実はお肉になるのを待たされていることになります。
九州では肉用として輸入の品種であるブルトンなどの大型の馬を主に扱っています。
これは体高が高く2mは超えます。体重も1tは楽に越えますので仕事はしやすいです。
しかし、肉のキメの細やかさは当然身体の小さい品種の方が細かいので品質的にはどちらを求めるかということになります。
そして、ここで道産子がいる理由は、種の保存のためのテストのようなものです。
道産子は北海道では当たり前のように言葉だけが先行してますが、実際問題和牛のような珍重のされ方はしてません。
隣町の芽室町に道産子を飼われている方がいまして、流鏑馬などを通して道産子を残そうとされていますが、経済活動の伴わないものは残る可能性が薄いものと思われます。
天然記念物にでもならないとムリでしょう。
北海道では馬肉を食べるのを嫌がる方が大勢います。
理由は馬が身近にいるからとか、馬がかわいいからとかですが、もともと北海道では牛肉が一般的ではなく、羊や豚、馬などを食べていました。
農耕馬としての役割を終えた馬肉はそれはそれは硬かったと聞いております。
この種を残すかどうかが問われています。
2006年05月26日
たまにはね
牧場の牛たちです。
写真を撮ろうとすると、
寄ってくるものもいれば
逃げるのもいます。
人間たちとおんなじです。
一昨日の写真ですが、本当は今日も会ってます。
座っていると言うことは非常にリラックス状態です。
逆に立っているということは緊張状態ですので
ストレスが大きいです。
こんなのんびり状態を見ていたら、こっちものんびりしないと損した気分です。
実は牛の下はうんこちゃんだらけ。
でも、嫌がってはいません。
見学にいらしてくださる方々に”におい”の感想を聞きますと、
(ほとんど)『臭くない』
と言うコメントをいただけます。
あまり不特定多数の来場は衛生面で問題が発生する恐れがあるので
私としてはある程度で押さえたいですが、牧場を知っていただくには
これが一番なのも分かります。
もっとも手間がかからず(糞尿処理に対する環境コストが低い)、げっぷやおならも少ないので温暖化を助長するガスも少ない飼育方法であると、自分としては納得している部分です。
味に関する部分はどうしても期間が必要だとは思いますが。
放牧地です。真ん中へんの黒いのが牛です。
日高の山のふもとなので水も奇麗です。
ここは件の”旭山”と言います。